第17章 ラブシック・ハイ(後編)【宮治】
「……ほんで、心の準備できたら……
名前の心も身体も全部、俺のもんにさせて?」
このまま、キスされてまう……
そんな距離感。
え……身体って……?
「こ、心はあげられるけど……身体って……!?
まさか……漫画あるあるの魂入れ替わり!?スイッチラブ……!?」
今にもキスされそうな至近距離で、治くんは止まった。
「……あっははは!!出たー、天然爆弾!!
普通にボケるより全然おもろいわぁ!!」
「……あははっ!治くん、また笑てくれた!」
この笑顔が見たかった。
やっと見られたって、幸せを噛み締めた。
就寝時刻まで、あと10分くらいかな。
時計を確認する余裕の無い私たちは、そのまま何度もファーストキスを交わした。
時間に遅れたお咎めを、受ける事なんか怖くないから……
このままずっと、こうしてたいよ。
「好き……大好きやで……名前」
「私、も……大好き、治くん」
だって2人とも、“病人”やから。
熱にうかされるみたいに、キスをしながら呼び合う。
どんなお医者さんでも、どんな薬でも治せない。
“二度と治らない風邪”を、ひいてしまったんやから。
END