第13章 ジーザス!【黒尾鉄朗】
「……ん、ん、ふっ」
「ん……ん」
目を開けてクロを見ると、目を閉じて夢中で私の唇を貪っていた。
「……あ」
罪悪感に苛まれているのに、舌を離されてしまうと少しの寂しさを感じる矛盾。
クロはそんな私の複雑な心境を一蹴する、抉るようなキスで翻弄してくる。
「んんっ……!」
「ちゅ……はっ」
私の唇を赤い舌でペロペロと舐め回すクロ。
クロの唾液で、唇の周りがどんどん潤っていく。
「んぁ……く、ろ」
もうクロに身を委ねる事しか出来なかった。
身体の力が抜けて、後ろの壁が無ければ立っていられない程だ。
舐め終わりにリップ音を立てて2・3回軽く吸い付かれて、クロが離れた。
「……はぁっ、クロぉ」
「やべぇから……その顔。勃つっての……」
「クロのエッチ」
「俺がエッチかどうか、試してみる?」
「バカっ!!」
クロに惹かれている自分が居た。
数日前は恋人を拒んだ私が、目の前に居る人に酔っていた。
「人生、何が起こるか分かんねぇな?」
「……そうだね」
クロは今や、友達じゃなくなって恋人でもなくて……
でも、ただ、抱き締めたい。
「まぁ……ゆっくり俺の事、好きンなってよ」
「自信過剰?」
───神様。
私はクロの事、好きになるのでしょうか?
私?
私はこう思います。
「私、きっと……クロの事、好きになる」
神様に聞くまでも、無かったかもしれません。
私はクロにしっかりと抱き付いた。
身長差で親子みたいになってしまったけど。
「ぶっひゃひゃひゃ!期待してんぜ」
直後、おしりを撫でる大きな手の感触が走る。
「っ!?」
「そんなかわいー事すると、またイタズラしたくなるだろが」
「な!?セクハラっ!!早く眼鏡返せっ!!」
紳士だと思えば急に軟派になったり、本当に無節操で掴み所の無い奴。
どうしようもなく、揺さぶられる。
「んじゃ、俺。部活行かねーと」
「さっさと行け!!」
「いつもの名前に戻った」
ニヤリと笑ったクロに、心臓がキュンと締め付けられる。
赤くなる顔を隠しきれない。
「あ、部活観に来る?すーぐ俺に惚れちゃうヨ?」
「惚れさせてみろってのー」
───神様。
前言撤回します。
私もう、クロの事……好きです。
END