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【ハイキュー!!】短編集~Mint tea~

第12章 男の子、女の子【菅原孝支】




「セクハラー!!変態ー!!」
「そんな変な事言ってねぇべー!?」
「なんか言い方!!エロオヤジっぽい!!」
「エ……!?」


いつもの様にぎゃあぎゃあと言い合う。
甘い空気ではないけれど、これも菅原との大切な時間だ。

いつもと変わらない、特別な時間。
とっても幸せで暖かくて、大好きな時間だ。



まるで図ったかの様に、坂ノ下商店へと坂を下って来たうちの学校の生徒で賑わい始めた。
今まで周囲に人が見当たらなかったのが不思議な位だった。

私と菅原の為に、田中くんと西谷くんが人払いをしていたのは、また別の話だ。



「えへへっ。菅原、大好き」
私は彼に耳打ちした。

「急にどうした」
「まだ言ってなかったから……菅原ももっかい言えー」
「そんな頼み方されても言いませんー」


私たちはベンチから立ち上がり、学校へと向かう坂を上る。

「……全部聴こえてンだよ……」

坂ノ下商店の金髪兄ちゃんが店番をしながら呟いたのは、これまた別の話。



「名前。今週末、覚悟してろよ?」
「え?」

菅原が不意に私の耳へ唇を近付けてきた。



「部活終わった後、キスより先の事教えてやるからな」



時が、止まった。

週末まで何の準備をすれば良いのか、咄嗟に色々考えたが纏まる筈も無い。



「名前、大好き」


また耳打ちして、周りに気付かれない様に一瞬で、チークパウダーが綺麗に着いた頬にキスをされた。


「……あーっ!!もうっ!!」
「なに真っ赤になりながらキレてんだよ?教室戻んべ」

「おうよ!!」
「男か!」



菅原は、私に歩調を合わせてしっかりと隣を歩いていてくれた。
顔をチラッと見た時に目に入った、色っぽい泣きぼくろに口付けたい衝動を必死で抑えた。



「あ、ところでバレー部副主将の菅原クン」
「何ですか苗字サン」


「昨日の昼休み、さっきのバレー部2人組にパンツ見られたんだけど」

「どーせカツサンド争奪戦でもしてたんだべ」



私の事は何でもお見通し。
不敵な笑みが全てを見透かしていた。


週末まであと3日。

親友からの新たなレクチャーを求めるべく、足を教室へと急がせた。



「あ、さっきはああ言ったけどさ。化粧してる名前も……可愛いよ」


「ププッ!お姉さん好きめ!」



END

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