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追憶【レイトン教授】

第9章 【魔人の笛】第五章――魔女の凄む家――






屋敷の中はとても人が住んでいるようには見えなかった。
ホコリまみれの絨毯、クモの巣が張ってある天井、今にも崩れ落ちそうなシャンデリア。
壁に飾られている絵画も色あせ、ところどころが破れている。

「この絵は……」

思わず足を止めたの目に映るのは一枚の写真。
少女と少年の笑った姿が綺麗に飾られていた。

「……ユラの写真ですね。何年か前に撮った写真だと思います」
「ユラと一緒に映っているのは誰でしょうか?」
「……こっちは、ユラの弟のトニーです……」

弟の話など一切住人は言わなかった。
彼のことを聞くと、ルークもまた彼がいまどこにいるのかわからないという。
屋敷にいるとは思うと言ったが、確証はないようだ。

ユラの姿を見たという部屋の前までくると、そこはおもちゃがたくさん散らばっていた。
ユラが遊んでいたのかもしれないが、よくみると男の子用のおもちゃばかりだった。
おもちゃの一つである黄色い車をとりあげ、裏返してみるとそこに所有者の名前が書いてあった。

「トニー……」
「トニーは一体どこにいるんでしょう。姿を見ませんでしたが……」

もしかしたらユラと一緒に監禁されているのかもしれない。
は目の前にある扉を静かに開けた。

窓際に置いてある椅子に、少女――ユラは座っていた。
突然の訪問者に驚き、目をきつく吊り上げ睨みつける。

「あなたたちは、誰?」
「私はエルシャール・レイトン。驚かせてしまったようですが、私たちは決して怪しい者ではありません」
「怪しい者ではない人が、どうして勝手に人の部屋に入ってくるのですか?」

ユラの言葉は正論だった。
彼女にとってみればどうしたってレイトンたちは怪しい人物にしか見えなかった。

「すみません。これにはちょっとした事情が……。少しだけ話を聞かせてくれませんか?」
「………」
「庭師の人に監禁とか、ひどいことされてない?」
「なんですかそれ?庭師のデムスは確かにうちの使用人です。監禁なんてされていません」

どうやらレイトンたちの早とちりだったようだ。
その証拠にユラには傷一つ見当たらない。
ケガもなく無事だったユラにほっと溜息を吐く。






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