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追憶【レイトン教授】

第9章 【魔人の笛】第五章――魔女の凄む家――







ユラはここに長居をさせてくないのか、早くここから出ていくように催促するが、不本意とはいえユラに出会う事ができた今本来の目的である"魔人の笛"について問いただす。

一年前にユラの父親であるアランバード氏が闇市で買った魔人の笛は、誰かがその笛を吹いて魔人を従わせ町を襲わせている。
その笛のありかを突き止めなければこの事件は解決しない。

「そんな笛は知りません。それに笛で魔人が呼び出せるなんて本当に信じているのですか?」
「私は魔人が現れた時、美し笛の音を聴きました。その笛が魔人に関係していることは間違いありません」

しかしユラは知らないの一点張り。
何かを隠しているような、怯えているような雰囲気を感じ取ったは口を開く。
しかしそれよりも早く口を開いたのはユラだった。

「私は"厄災の魔女"……近づく者には災いをもたらす。私に近づけば、あなたたちもただでは済みません」
「……なんで?ユラは魔女なんかじゃない!」

異論を唱えたのはルークだった。
面識のあるような口ぶりにとレミは驚きを隠せない。

――ユラは魔女なんかじゃ絶対にない、絶対に!

ルークにはそう言い切れる自信があった。
昔、まだ魔人が現れる前。
アランバード氏が生きてた頃。
この屋敷でパーティが開かれたときのことをルークは思い出していた。
大人ばかりのいるパーティに子供居場所はない。
それに嫌気がさし、一人でいるところに少女は声をかけた。

「こういうところ、あんまり得意じゃないんだ。実は私も!」

にこりと笑った少女は彼の手を取りテラスへと走り出した。
いきなり外へ連れ出され困惑するも、上を見上げ感嘆の声を漏らす。
暗い闇の中にはいくつもの星が輝いて彼らを静かに見守っている。

「どう?きれいでしょ?」
「うん」

先ほどまでの憂鬱な気分が吹き飛び、自然と笑みがこぼれる。

「空を見ているとね、この町で起こることなんて小さなことに思えてくるの。いいことも悪いことも」
「そうだね。ちいさなことだよね」
「私はユラ。これから私たちは友達!でしょ?」

少女は少年に手を差し出す。
戸惑いを見せながらも、少年を少女の手を握り返した。

「ボクはルーク。ルーク・トライトン!」

彼らの頭上では流れ星がきらりと光る。

――みた?――うん!――お願い事しなくちゃ!!



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