第7章 【魔人の笛】第四章――闇の支配者――
ステージ裏へ行き、売買記録を見せてもらう。
記録には、一年前に魔人の笛が購入されていた。
買った人物の名前は、アランバード氏。
ミストハレリの全ての土地を所有していた領主で、大富豪の名が記載されている。
この町のてっぺんに見えた大きな屋敷は、アランバード邸だったようだ。
今すぐ会いに行こうとする彼らにクロウは呼び止める。
「残念だけど、アランバード氏は一年前に亡くなったよ」
「え?」
「魔人の笛を手に入れた直後に亡くなったってこと!?」
「いったい何があったんだい?」
クロウから出た言葉は想定外の出来事だった。
やっと手がかりを見つけたと思ったら、すぐに突き放される。
レイトンの質問にクロウは首を横に振った。
彼も詳しい事は知らなようだ。
「でも、あの屋敷には絶対近づかないことだね」
「厄災の魔女だね……」
厄災の魔女。
気になる発言をするルークにクロウは今度は首を縦に振った。
アランバード氏の娘は呪われているという。
彼女の悪口を言っただけで、不幸な事が起こるとクロウはいう。
【厄災の魔女ユラ】
その名前でアランバード氏の娘は住人から恐れられ、誰も彼女にも彼女の屋敷にも近づく者はいない。
いずれにせよ、魔人の笛の手がかりはアランバード邸にあることは間違いない。
クロウの制止を受け止めながらも、レイトンたちはアランバード邸に歩き始める。
アランバード邸に向かいながらも魔人の笛の情報とともに魔女の情報も集める。
一歩後ろを歩いているは懐から煙草を取りだし、「そういえば」と口を開いた。
「魔人が何度も現れて町を破壊してるって言う割に痕跡がそれほどないんだよなぁ。なんでだろう」
「それは町の人たちを支援しているお金もちのガップルさんのおかげです」
頭の中を整理するために呟いた独り言はどうやらルークの耳に届いていたようだ。
ルークが言うには、トライトンとは仲が悪いらしいがミストハレリに詳しく、とても愛しているのだという。
もしかしたら何か知っているかもしれないと思い、一行はガップルの行きつけのレストランへと赴く。
も吸っていた煙草を消し、携帯灰皿へと捨てた。