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追憶【レイトン教授】

第3章 【魔人の笛】序章―—出会いと再会――







どこかの屋敷の一室に一人の男が本を開いている。
部屋はたくさんの本で埋め尽くされている。
どうやらここは書斎のようだ。

裕福な家なのだろう。
装飾品や家具などは、とても安物には見えずそれどころか気品あふれるものばかりである。

燭台に火を灯し、一冊の本を抜き取った男は椅子に腰を掛け足をくんだ。
そしてページをめくり、口元を怪しく歪ませる。

「"むかし、とある町を敵国の軍隊が襲った。町には敵国の兵士たちが入り乱れ、混乱する中ひとりの少女が笛を吹いた。その笛の音が空に響き渡ったとき、恐ろしい魔人が姿を現した。呼び出した者の忠実な僕となった魔人は、敵国の兵士をすべて抹殺し町を守った。その笛を人々は『魔人の笛』と呼んで、町の宝とした"」

男は静かに内容を読み上げ、そっと本を閉じた。

「おもしろい話だろ?」

男は部屋の入口、扉の前に立つもう一人の老人に声をかけた。
「そうですね」と静かにうなづくその老人に、男はまた口元を歪めた。
ゆっくりと腰をあげ、老人を見据える。

「さぁ、始めようじゃないか。新しいゲームを……」
「はい、旦那様」

男はゆっくりとその部屋を出て行った。
その後ろを見守るように老人もまた部屋を後にしたのだった。





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