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追憶【レイトン教授】

第5章 【魔人の笛】第二章――世界の終わりを予言する少年――






案内された302号室は、驚くほどに広くそして見晴らしがよかった。
霧が濃いとはいうものの、もしかしたらうまくいけば魔人の姿も観察できるかもしれないと思ったは窓際近くのソファに腰を掛けた。
そして懐から煙草を取りだし口に咥え火をつけた。
肺に煙を送れば、歩いた疲れなども吹っ飛ぶような気もした。

「……さん、煙草吸うんですね」
「ああ、煙たかった?ごめんよ。外に向かって吐くけど、私から少し離れたほうがいいかもね」
「私……?」

煙草を吸っているを見て、少し意外だと思ったのかルークは彼女に話しかける。
その時、たまたま。
本当にたまたま普段は使わない一人称が出てしまい、はやっちまったと顔を歪ませた。

「はは。らしくもないね。少し疲れたかい?」
「そうかもしれません」
「えっと……」
「騙してたわけじゃない。隠してたって言うのが正解かな。正真正銘性別は女だよ」
「でも、どこから見ても男の人にしか……」

おろおろと落ち着きのないルークを見て、は煙草を消すと彼に歩み寄った。
同じ目線になるためにしゃがみこみ、彼の頭を撫でる。

「レイトンさんの側にいるときは危険がつきものだからね。男っぽいほうが何かと便利でこういう恰好をしてるだけ。隠しててごめんね」
「いえ……」
「あんたは素直でかわいいね」
「かわっ……!!ボクは男です‼」
「あははは!!かわいいねえ」

じゃれあう二人を微笑ましそうにレイトンは見つめた。
無邪気に怒って笑って、そして戸惑う。
本来のルークの姿を少しでも垣間見れたことは、ここへきて初めて大きな収穫なのではないかと、そう思うレイトンだった。





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