第3章 【お強請りの仕方】
時は昼。
は非常に困っていた。理由は、買い溜めしていたプリンが底をついてしまったのだ。買いに行けば良いだろうと思うが、今月の収入を考えると我慢しなくてはならない…。
毎日食べていた故に、暫くは食べられない現実に直面している今……頭を抱えるしかない。
「頭抱えてどうした?」
『…生命危機を感じてるんです』
椅子に座って、机の上に両肘を置いて頭を抱えている彼女に声を掛けたドフラミンゴ。からの返答に更に頭の上にハテナマークを浮かべるばかり。
生命危機とは一体何が起こったのかと。
「俺に相談出来ねェ事か」
『いえ、言おうと思えば』
「じゃあ先にそうすれば良いじゃねェか…。で、何だ?」
彼女が座る向かいの席に腰掛けると、ニヤニヤとした顔で聞くドフラミンゴ。対して彼女は神妙な面持ちで口を開く。『実は……』彼が生唾を飲み込んで、続く言葉を待つ。
『プリンが食べれないんです……!!』
「…………は?」
『買い溜めしてたんですけど、昨日の分までしかなくて……補充しようと思っても収入を考えると我慢しなきゃならないんですよ』
「………」
『嘘だろお前みたいな視線を向けないで下さい。私にとっては死活問題なんで』
そして再び頭を抱える彼女に対し「フッフッフ…」という、いつもの笑みが零れた。
「そんなモン、俺に強請れば良いだろ?」
『え、嫌な予感がするのは私だけですかね』
「気の所為だ」
『……貴方に頼んだ所で、それ相応の礼をしろとでも言ってくるんでしょう?』
「よく分かってるじゃねェか…」
どうだ?強請るか?と聞けば『…………何個買ってくれるんですか』と聞いてくる。
「…好きなだけ」
『!』
「悪い話じゃねェだろ」
『確かに……』
好物に関しては、こうも単純になる彼女。これからもこの作戦は有効そうだ。そんな事を密かに思っていると『じゃあ手始めに1年分のプリンを……』「お前って本当に容赦ねェよな。まァ、買ってやるが…」