第10章 とりかえばや(逆ハー版)第7章
「パラグライダーの墜落…ですか…」
久しぶりに我が家に遊びに来てくれたリヒちゃんが、家の前の残骸を見てつぶやいた。
「そうなの。爽やかな朝が一変だったの」
…そして親分に襲われるって言う。
これはさすがに刺激が強すぎてリヒちゃんには言えなかったけど。
ただ、なんとなく女の勘、というヤツは働いたみたいで、
「…何か、あったのですか?」
と顔を覗き込まれた。
リヒちゃん鋭すぎて、顔から動揺が零れ落ちそうになる。
私はなんとか微笑みをたたえたまま、水羊羹を差し出した。
リヒちゃんは嬉しそうにそれを頬張った。…よかった。ばれなかったか…。
「あとで、ちゃんと敵は討ちます。お姉さま」
なんていう呟きが聞こえた気がしたけども…。
夜。
なぜかバッシュさんとローデさんが家に訪れた。
「え?何か珍しくないですか?不思議な感じ」
訪れた二人を迎えながら、私は思わず言った。
「い、いや、これはつまり…。男手が多いほうがいいと思ったからであって、そういうことではない!」
なぜか非常に慌てた様子のバッシュ氏。そう言うことがどういうことか分からないww
「ここではなんなので、とりあえず居間でケーキでも食べましょう」
ローデさん、それ、私の台詞です…。
と、いうことで、ローデさんの指示通りケーキを取り分けてお茶を入れた。
「……」
な、なんか…きまずい…
困った顔でリヒちゃんを見ると、リヒちゃんも困った顔で眉を下げた。
「…お兄様とローデリヒ様なら安心です」
お茶を一口すすり、リヒちゃんはぽつりとそんなことを言ったのでした。