第8章 目を覚ますとそこは…
「村崎さん、ここです!」
「あ、本田さん…」
通学で使う駅の中にあるカフェで、私は本田さんと会った。
なんだろう…すっごく不思議な感じ。
改めて本田さんを見ても、私にはそんなに似てるようには思えなかった。
「あ、たぶん。本田さん宛てに封筒が届いてました」
「ありがとうございます、中身…見ましたか?」
「すみません、私の物かと思って見てしまいました」
やっぱり本田さんのだったんだ。
本田さんは少し恥ずかしそうに、原稿を受け取った。
「…すごく、身勝手な話です。
私は昔から夢がありました。少女マンガ…を描いてみたくて。
三次元の世界で、自分の描いた作品を世に出したかったんです。
ある日、すごくいい物が描きあがって、どうしても出版社に送りたかったんです」
「……」
すごい話だなぁとぼんやりと考えながら聞いていた。
二次元の人たちが三次元に来て二次元を描きたいって…
「うん…そうだったんだ…」
「私の勝手に付き合っていただいてしまって、大変申し訳ありませんでした」
「…本田さん、もう、戻ってしまうんですか?」
私の言葉が意外だったのか、本田さんは不思議そうな表情をした。
「私は、その本田さんの勝手な行動のおかげで、たくさんの友達ができました。みなさんは私を本田さんだと思っていますけど、みんなみんな、私にとって大切な友達なんです。だから、これでお別れなのは、すごく…ツライです…」
「では…もう少し、とりかえばや、いたしましょうか?」
そう言って本田さんはやわらかく微笑んだ。
「私も漫画大賞をとるまでは、やりたいですし。
なにより大賞を取ってしまったら、またまた漫画家として忙しくなりますからね。
また、村崎さんに本田菊をお願いしてもよろしいですか?」
「もちろんです!!」
こうして私はふたたびヘタリアの世界へと飛んだ。
ATOGAKI
これ…ラストでもよかったやもしれぬ