第6章 長期滞在になってまいりました。
「本田!」
一人で街で買い物をしていると、アーサーさんが私に声をかけてきた。
「アーサーさん、こんにちは」
私が頭を下げると、アーサーさんも合わせて頭を下げる。
「今日は日本まで観光にいらしたのですか?」
「いや、今日は貿易関係で上司と中国に行ってきたところだ。だから、ただのついでなんだからな!
お前に会いに来たわけじゃないんだからな!」
「あー…はいはい」
ツンデレごちそうさまです、とは言わなかったが心の中で手を合わせた。
「それでだな、ん。これみやげ」
そう言って私に少し大きな紙包みを押しつけてきた。
「まさかスコ「ちがう!月餅だ!…ってあからさまに安心したような顔をするなよ馬鹿ア!」
「ゲッペイ…」
実を言うと月餅は食べたことがない。
私はうれしくなって、「さっそくいただきましょうか」と言って、ひとまず家のほうへ移動した。