第1章 なんの前触れもなくとりかえばや!
「ルートさん…、私違和感ありませんか」
「いや、ないぞ。完璧に本田だ」
会議室前で、私は一歩踏み出すことができず同じ質問を何度したことだろう。
そして私はさっきから何度も本田さんの携帯(正しくは私のだけど)を鳴らしている。
学校にいるのか出る気配はない。
「本田ーーーー!!!!出ろーーーー」
と、叫んでいると
「き、くーーーー!!」
「どぅっはーーーー!!!」
後ろからタックル…正しくは抱きついてきた人物に押しつぶされた。
「あれ、ごめーん…大丈夫、菊」
「お、重い…降りて、ください…」
「どっか悪いの、菊ー」
そう言って私の腰から降りたのは、フェリシアーノさんだった。…少し予想はできたけど。
「…しかも、なんか太った?」
ちゅどーーーん!!!
天然地雷踏みやがったよ、フェリシアーノさんのくせに!
「あははは…もう年なんで、ブニブニなんです」
くっそーこの分なら胸だけじゃなくて腹とか腰回りにも鉄板入れてくるんだったくっそー。
私は平静を装いながら少し鉄板を真ん中あたりにずらした。
なんやかんやで、開始のチャイムが鳴り響いた。
(チャイム、鳴るんだ…)
そんなことを考えていると、私はルートさんとフェリシアーノさんに手をひかれた。
「行くぞ」
「早くいこー。珍しく時間通り着たのに遅刻しちゃう〜」
そして、扉は開かれた。