第4章 徐々に人脈が増えている件。
まさか?
まさか!?
いやいやないない。
だって、本田は男だろ?
見るつもりはなかったんだ。
ギルベルトの☆楽しすぎる昼下がり
「…だ、れ?」
「なんだ、お前風邪ひいたのか!ケセセセ、良かったなバカじゃなかったんだな」
「おかあさん?」
「はぁ?」
「今熱があるみたいだからもう少し寝るから…」
そう言って本田は俺に背を向けた。
おかあさんはねえだろ。
本田の家の前を通りかかったので、ひとつからかってやろうと家に侵入すると、本田は寝室で寝込んでいた。
「お前、薬とかないのか。水枕は?」
「うーん…」
反応がない、ただの屍のようだ。
何を聞いてもうなるだけで反応のない本田に、俺はほとほと困った。
「…お前…、やっぱりバカだろ…」
やっぱり常識的に考えてみればバカのが風邪ひくじゃねえか、と突っ込みながら、俺は台所に向かった。
とにかくこの家には余計なものが一切ない。
水枕が余計なものなのか分からないが、水枕もなかったのでタオルを水にぬらして頭に乗っけておいた。
しばらくそれを眺めた後、
「・・・で?…風邪引いた奴に、他に何すればいいの?」
答える相手もいない虚空に向かって俺は独り言を言っていた。