第1章 プロローグ
一
それは呪いだった。子供特有の甲高い声で私の頭の中に響いて、痛いほどに締め付けてきた。このわらべうたは纏足のようなものだ。
指切りげんまん。幼い私が、誰かと小指を絡ませ合っている。
嘘ついたら針千本、飲ます。小指を絡ませたまま、お互いに大きく腕を振りあった。嘘はいけない、と幼い頃の私は信じていた。
指、切った。
指と指が離れた。誰かと私は走り出した。息を弾ませながら、鈴でも鳴らすように笑った。幼い頃、未来はきっと明るいものなのだろうと思っていた。自然と、光は訪れてくれるのだろうと。