第1章 【加州清光】赤い椿
大好きな主の布団の中で、抱き合ってるわけだけれど。
何回こういう目にあっても、慣れない。
主の匂いに包まれる度に、酔いしれるような甘い感覚に襲われる。
主は、俺がこんな気持ちになっているっていうのに呑気に寝ようとしてる。
加州「こんなことして、襲われても文句言えないよ?」
「はは、清光はそんな事しないよ」
主は、俺を心の底から信用している。
けれど、男として見てくれたことは一度だってなかった。
それがどうしても悔しくてたまらない。
加州「主」
「ん?」
主は、しばらく言葉を発しない俺を不思議に思い顔を上げた。
「どうし、んっ、」
そしてそのまま唇を奪った。
抵抗しようとする主の腕を掴み、おさえる。
加州「…キスしてもまだ男として見てくれない?」
耳元で囁いて、そのまま噛み付く。
「あっ、…ゃ、だめ、清光っ」
甘い声が漏れる。
もうどうにも抑えが効かない。
主の着物は、前が大きく開いていて胸元が丸見えだ。
寝ている間に帯が緩んだのだろう。
その声も、着物の隙間から見える白く大きな胸も、赤く染った頬も、なにもかもが興奮材料でしかない。
加州「ごめん主。もう無理」