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鬼滅の刃  嫉妬

第2章 [冨岡 義勇]


部屋には縁側があり、今日は天気が良くて心地の良い日差しと風がはいってくる。
縁側に近寄り、その縁に腰を下ろす。
冨岡はその日の光と風の心地よさを呼吸で感じる。


トリと療養という事はまぐわう。という事なのだが、部屋には布団等は一切無く、胡蝶の企みに気が付き、髪の毛をくしゃりとかきあげて冨岡は苦笑いをする。


コンコンと、障子が叩かれると、失礼します。と、障子が開く。
そちらを見るとトリが頭を下げていて、胡蝶への恨みが少し減った気がした。

「そちらに行ってもよろしいですか?」
「いつもそんな事聞かなくても来るだろう…」
と、今更何を聞くのかと呆れた様にトリに言う。

ふふ、それもそうですね。と、優しく微笑み、盆に乗せた茶菓子とお茶を持って冨岡の隣にちょこんと座る。
甘くて優しいトリの匂いがトリの鼻を擽る。

キイロイ…と、冨岡はトリの名前を呼ぶ。
はい?と、トリは返事をして振り返ると冨岡にお腹に腕を回され抱えこみ、身体を引き寄せられ冨岡の脚の上に座らされる。
迎え合わせではなく、冨岡に背を向けるように。

すりっと、トリの右の首筋に頬を寄せてくんっとその愛おしい人の匂いを嗅ぐ。
「…義勇さん?擽ったいです…」
ふふっと、甘く笑い、右手で冨岡の頭を撫でる。

ぎゅうっと、トリの身体に腕を絡めて抱きしめる。
その腕で身体でトリを感じ、離さぬ様に。
私は逃げませんし、居なくなりもしませんと、心を読まれたかのように求めていた言葉を言う。

「さっきは、急に触って驚かせてしまいましたか?」
と、眉尻を下げてトリが言う。
「違う…」
と、ぽつりと話し始めるが冨岡は言葉が進まない。
「キイロイなら、匂いでわかるだろう…」
「言葉にしてくださらないとわからないものです。」
と、ふふっと、艶っぽく大人の余裕を見せながら笑うトリにまたとくんと鼓動を早める。


言葉にしようと口を開けて話そうとするが、その口をつぐみ、と、その行動を繰り返す。
ちょんっと、冨岡の太腿に手をもう片方の手で頭をポンポンっと子供をあやすようになだめた。
ふぅっと、トリの首元でため息をつき、ぽつりぽつりと話し始める。
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