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鬼滅の刃  嫉妬

第1章 [煉獄杏寿郎]


どのくらい時間がたったであろう。
トリは本当に気が効く女で、
「最近、満足にご飯も食べて居なかったでしょう?」
と、握り飯を煉獄の為に作ってきたり。
会話の最中でも間を取り持つのがとても上手くて
話したい時と、触れて居たい時と、煉獄の気分に合わせて付き合ってくれた。


煉獄の呼吸が落ち着いてきて、冷静になってきた。
すうっと息を吸えば、日の温かい匂い、緑の新鮮さが鼻から入り、息を吐くと風の音、葉の擦れる音が耳に入ってくる。
「…ここは、良い場所だな。」
「…そうでしょう。だって、私の特別な場所ですもの。」
自慢気にふふっと笑うトリからは甘く柔らかい匂いがした。
「なぁ」
ん?と、くるっと顔をトリの方に向けた煉獄。
余りにも真剣な表情にトリは気恥ずかしくなって、なんですかーと、ふざけてしまう眉尻を下げる。
「何故、俺をここに…?」
「質問に質問で返すのは無粋だと思うのですが…なんでだと思います?」
ふふっと悪戯っ子の様に笑うトリ。
わからないから聞いているのだが…と、煉獄はぽりっと、こめかみを指でかく。
ふっと、鼻で笑うと大声であはははっと笑い始める煉獄。
「俺はなんて小さい事を気にして居たのかと思ったら笑えてきてな、すまん!」
胡蝶屋敷に来たのに、トリと全然話す機会が無かった事
話が出来ても用事があってそちらへ行ってしまった事
トリと、他の鬼殺隊員が呼ぶのに嫉妬していた事
ただ、トリと名前を呼んで、他愛もない話をして触れたかったんだと、ゆっくり話をした。
「これは俺の独り言だ、気にするな!トリ!」
「やっと、名前を呼んでくださいましたね」
ふわっと、トリの匂いが近くなったかと思うと、煉獄の唇にトリの唇が触れていた。

煉獄の手を取り、トリの顔の前に持っていき、すぅっと匂いを嗅ぐ。
「今は2人きりなんですから、私の名前を呼んで下さい。私はここに居ますから、沢山触れて下さい。」

あっという声と共に、トリは煉獄に力強く引き寄せられており、唇を重ねる。
目と目が合うとお互い微笑みあって、名前を呼び合い、
何度も何度も角度を変えて愛おしい者に触れるように優しく唇を合わせた。







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