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Change the world【ツイステ】

第2章 撮影ホステージ!【レオナ】




サバナクロー寮の談話室に連れてこられたヒカルは、大きなテーブルにところ狭しと並べられた料理の数々に目を輝かせた。

「わ、わ、美味しそう!」

「当たり前でしょ、いったい誰が作ったと思ってるんスか。」

脂滴る霜降り肉のローストビーフ、見たこともないエビと貝のシーフードグラタン、網の焼き目香ばしいチキンステーキ、色とりどりのサラダなど。
肉料理の品が多いのは、サバナクロー寮の特色だろう。

「おい、ラギー。野菜は出すなといつも言ってんだろうが。」

「ちゃんとバランス良く食わないと身体に悪いッスよ~? それに、今日はヒカルくんがいるんだから、少しはヘルシーなもんも出さないと。女性はそういうの、気にするんスよね?」

なんて細やかな気遣い。
流石です、ラギーさん。

しかし心配ご無用。
こう見えてヒカルは肉食派で、朝からステーキもイケるタイプだ。

ところで、ここでひとつ問題が。
向かいのソファーに、どうしてレオナが座っているのか。

答えは簡単。
レオナもここで食事を済ませるつもりだから。

(う……、レオナと一緒にご飯だなんて、ご馳走の味がわからなくなっちゃうよ。)

考えてもみてほしい。
大好きなアイドルの前で食事が喉を通るだろうか。
いや、通らない。

特にレオナは王族だから、マナーが悪いとか食べ方が汚いとか、そんな印象を抱かれたら恥ずかしくて死んでしまう。
もっとも、サバナクロー寮はハーツラビュル寮よりもマナーにうるさくなく、行儀をどこかへ置いてきたような生徒ばかりだが。

現実がどうであっても、推しの前では借りてきた猫同然のヒカルは、最初のテンションとは打って変わっておとなしくなり、焼き立てのパンを小さく千切って食べている。

遠慮というか、単に食欲が湧かないだけなのだが、レオナの目にはそう映らないらしい。

「……なんだ、食わねぇのかよ。」

「ん、ぐ、お気になさらず……。」

「肉だらけの食事はお気に召さねぇってか? ハッ、草食動物らしいな。そんなだから細っこいんだ。ほら、食え。」

なんと、あのレオナがヒカルのために肉料理を取り分けてくれた。
ヒカルのために、肉を。

感動のあまり全身が震える。

この肉、アズールに頼んで永久保存することはできないだろうか。



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