第4章 片恋コンサルテーション!【アズール】
ヒカルが自分を好き。
それは、アズールの想いが通じたという意味だ。
(いや、違う。ヒカルさんはずっと……、僕のことを見てくれていた……。)
ほんのちょっと優しくされただけで、過去の自分を認められただけで、好きだ、恋だと舞い上がっていたアズールとは違って、ヒカルはずっとアズールだけを見てくれていた。
見てくれていたからこそ、アズールがユウを好ましく思っていたことに気づき、さりげなく協力をしてくれていた。
それなのにアズールは、彼女の優しさに付け込み、卑怯な手を使って相談役を押しつけた。
恋敵のために協力し、恋敵の代わりに身体を捧げたヒカルは、いったいどんな思いでアズールの相談を受けていたのだろうか。
「ヒカルさん、僕は……。」
よほど酷い顔をしていたのか、ヒカルが困ったように眉尻を下げ、微笑する。
そんな笑顔は、見たくない。
「意外だな、アズールくんがそんな顔をするなんて。もっと……、呆れて笑うかと思ったのに。」
なぜ、彼女は最初から諦めているのだろうか。
フッてほしくて協力したなんて、気持ちをまったく理解できない。
「でも、気にしないで。言ったでしょ? どうこうなりたいわけじゃないって。」
なぜ、アズールを手に入れようと足掻いてくれないのだろうか。
応援なんかせず、恋敵から奪おうとしてくれればよかったのに。
そうすれば、きっと、もっと早くにアズールはヒカルに落ちた。
(僕に、その価値はなかったのか……?)
違う。
ヒカルの頭にはいつでも故郷へ帰る選択肢があって、結局アズールは、それに負けたのだ。
ヒカルの恋敵がユウならば、アズールの恋敵は彼女の故郷。
今でもそれは変わらずに、互いが互いに、片恋をしているまま。