第1章 全話共通プロローグ!
ヒカルの熱意と推しへの愛は、クロウリーを動かした。
「そこまで言うのなら……、わかりました。ヒカルさんは我が校の用務員として雇いましょう。」
「やったーーー!!」
バンザイをして喜ぶヒカルに、ユウとグリムが引いている。
自ら進んで雑用係を希望し、なおかつ大喜びをする女はさぞかし気味が悪いだろう。
「オレ様、ユウと一緒でよかったんだゾ。」
なにやら失礼な発言が聞こえるが、この際無視だ。
「えー……、しかしですね、現在学園内の教員寮は満室でして。あなたにはこちらの寮で生活していただかなくてはいけません。」
「ああ、大丈夫です。ユウも性別を隠して過ごすのはストレスが溜まるだろうから、事情を知ってるわたしが傍にいた方がいいと思うし。」
ね?とユウに尋ねれば、それはそうだと頷かれる。
オンボロ寮は部屋数だけはたくさんあるから、掃除と修繕をすれば個室も確保できるだろう。
「……では、元の世界に帰る方法が見つかるまで、ヒカルさんには用務員として働いてもらいます。学園の仕事は甘くありませんから、覚悟してくださいね?」
「はい、了解です!」
かくして、ヒカルはナイトレイブンカレッジの用務員に就任した。
クロウリーからプレゼントされた黒い作業服を着て、校内の掃除やゴミの分別、草刈りに花壇の手入れ、備品の修繕。
やることは多岐にわたって、毎日が忙しい。
しかし、そんな忙しさはリアルのストレス社会に比べれば塵のようなものだ。
なぜなら、この世界には推しがいる。
わたしの推しが誰かって?
それはまた、別のお話にてお教えしましょう。
To be continued