第3章 気分屋フィクル!【フロイド】
フロイドの恐ろしい勉強を詳しく問い詰めてもみたいけれど、今のヒカルはそれどころじゃない。
新しい愉悦の場所を覚えたフロイドが、馬鹿のひとつ覚えのように花芽を撫で続けるからだ。
「あふ……、ん、あ、やめ……ッ」
「あっは、すごい。どんどんぐちゃぐちゃになってくじゃん。」
「やぁ、もう、そこばっか……!」
楽器の嗜みがあるせいなのか、フロイドの指は実に器用に動く。
花芽を擦る指も、蜜路を行き来する指も、速度とリズムを変えて絶妙な刺激をヒカルに与えた。
「ヒカルちゃん、ちょー気持ちよさそう。早くオレも、ヒカルちゃんの中に入りたいなぁ~。」
物欲しそうに呟いたフロイドが胸の先端を口に含み、カリッと歯を立てる。
フロイドのギザ歯は凶器のようで、少し噛むだけでもヒカルの肌に歯痕を残す。
「いあぁ……ッ」
「あれ、痛かった? ごめんねー。」
少しも悪びれていない声で謝られても意味などないが、それはヒカルだって同じ。
痛がるフリをしておきながら、実際には痛みさえも愉悦に変えている。
事前に愛撫されていた身体は昇りつめるのも早くて、胸と花芽、蜜路を同時に刺激されたらあっという間に達してしまう。
「ん…く……、は、あぁ、あーーーッ」
両脚に力がこもり、無意識に閉じようとして間にいるフロイドの身体をぎゅうっと挟んだ。
「なにそれ、オレのこと絞めてんの? あは、絞められるのって初めてかも~。」
愉しそうに笑いながら、引き抜いた指に纏わりついた蜜を舐めたフロイドは、少し残念そうに眉尻を下げる。
「潮、吹かなかったね。もう一回見たかったなぁ、今度はちゃんと。クジラみたいで可愛かったのに。」
「……!」
思い出したくない過去を口に出され、ヒカルの頬がたちまち赤く染まる。
今すぐデリカシーという名の常識を、海の中まで取りに帰れ。