第1章 全話共通プロローグ!
オンボロ寮には、主人公であるユウと相棒のグリムのほかに“とあるもの”が住んでいる。
悪戯好きの彼らのせいで、オンボロ寮から人がいなくなってしまったと言っても過言ではない。
「わーーーッ」
「ギャーーーッ、オバケーーー!!」
廊下からユウとグリムの悲鳴が聞こえ、とりあえずヒカルもそちらへ向かう。
なんだって、オバケだと!?
という驚きや正義感からくる行動ではなく、単純に物語の傍観者でいたいというファン心。
事件現場に駆けつけると、すでにユウとグリムは三体のゴーストに囲まれていて、青い炎を吐いたグリムが必死にゴーストを追い払おうとしている。
しかしグリムの攻撃はちっとも当たらず、ふわふわ宙を漂うゴーストたちに弄ばれる始末。
見かねたユウがグリムに助言をした。
「グリム! もっとよく狙って攻撃して!」
「ふんな~~ッ、うるせーんだゾ! オレ様だってちゃんと狙って……!」
「ほらそこ、左!」
「ふなッ!?」
咄嗟に指示どおり攻撃をしたグリムの炎は、初めてゴーストへと届く。
「あ、当たった! やるじゃねーか、オマエ! よし、このまま全員やっつけてやるんだゾ!」
「ちゃんと自分の指示を聞いてね!」
「しょ、しょうがねーから、そうしてやるゾ!」
一度ユウとグリムがタッグを組むと、形勢は一気に逆転した。
炎魔法が次から次へとゴーストたちに直撃し、ダメージを受けた彼らは慌てて逃げていく。
この間、ヒカルはというと、ゴーストに襲われるでもなく、ユウたちに助けを求められるでもなく、完全に気配を消して傍観者になっていた。
もしかしたら、隠密スキルを持っているのかもしれない。