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鬼胎を抱く

第6章 鬼の出発


近くのレストランに入り、パスタを食べる。
勿論、聞き耳を立てながら。
鬼は耳がいいからね。

「そういえば、またアイツ、ハンター試験受けるらしいぜ」

「へー、何回目だ?」

「10回目ぐらいじゃねえか?しかも!今度は船だとよ!!」

「大丈夫かよ!!アイツすぐ船酔いすんじゃねえか!!」

ガハハハ!!と笑う男達の言葉を聞いて、次の行き先を纏める。
船、か・・・。
船だったら、やっぱり港かな?
ふう、お腹いっぱい食べたし行ってみるか・・・。
お会計をして店を出る。
案外近くだったようで、少し歩くとすぐに海が見えた。
漁師に聞くと船は、明日出港するそうだ。

「ふん、明日まで暇だなぁ・・・。聞き込みでもしますか」

町に戻り、お店の店員や道行く人に写真を見せたが、分からないと首を横に振るだけだった。
いつの間にか暗くなった空を見上げながら溜息を吐き呟いた。

「お腹、すいた・・・」


――――――――

朝早く目が覚めた。
時計を見れば、船が出るまで後一時間ぐらいある。
仕度をすれば丁度だな・・・。

「ふわぁ・・・」

欠伸と同時にお腹も鳴った。
そういえば、あの後、宿を見つけてすぐに寝てしまったな。
着物に着替え髪を纏めながら思い出した。

「港に行く時にでも食べていくか・・・」

チェックアウトを済ませ港へと足を進ませる。
食べていると時間が間に合いそうにないな・・・。
パン屋でサンドイッチでも買うか。
そうこうしているうちに港に着いたので、さっそく船に乗り込む。
私みたいな女がハンター試験を受けるのが珍しいのか、ジロジロと見られている。
ふと暗くなった視界に頭を上げる。
そこには、下品な男が一人立っていた。
臭い息とともに吐き出される言葉に溜息を吐く。

「よう、嬢ちゃん。お前みたいな弱いヤツが一人で試験を受けるなんて無謀だぜ!」

周りは、何が楽しいのかニヤニヤと笑っている。

「ふぅ・・・。貴方のやっている事は、私には石に灸、ですよ」

「あ?いしにきゅうぅ?なんだそりゃあ!怖くて可笑しくなったか!!」

「いえ、」

いまだ下品な笑い声を上げる男に、すばやく金棒を突きつける。
私は、恐怖で腰を抜かした男を見下げながら言う。
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