第5章 鬼の能力
あれから念の応用技などを教えてもらった。
え?話をとばすなって?・・・面倒くさいんだよ。
そしてジンに自分に合う能力を作れと言われた。
けれど、念の系統が分からない・・・。だから今、水見式というものをしている。
念能力は、オーラの使われ方によって6つの系統に分類されるらしい。
強化系、放出系、変化系、操作系、具現化系、特質系、そして念能力者は例外なくこれらのいずれかの系統に属した性質を持っているんだとか・・・。
「いいか、まず両手をグラスの脇にかざして、練をするんだ。ほら!やってみろ。」
小さく頷いて、言われた通りにやってみる。
すると、水が粘っこい液体に変わり、葉っぱが朽ち果ててしまった。
「・・・血に、変わった。」
ジンが顔を顰めグラスを覗き込んでいる。
「もういいぞ。・・・たく、鉄臭ぇ。んで、お前の系統だが・・・、特質系だな!」
「特質系、ですか。」
「おう、じゃ!頑張って考えろよ。・・・あ、そういえば、もう少しで飯だぞ。」
そう言って、ジンは部屋を出て行った。
・・・。
能力か・・・。どんなのが役に立つのだろう?
そういえば、鬼灯様が社員が少なくて困ってたな・・・。人数が増やせれば楽になるかな・・・?
・・・うん、そうしよう!良し!!決まった。
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「みたいな感じで決めました。」
「・・・。」
「鄙鬼さん、さすがです!!自分の事じゃなくて、相手の事を考えて作るなんて・・・!」
「いえ、そんなことないです。」
私の言葉にジンはアホ面を晒している。
逆にカイト君は、感極まったように私のことを褒めている。
そのままカイト君とわちゃわちゃしていたら、はぁ、と溜息が聞こえた。
「ま、いいさ。大事なのは、どんだけ上手く使えるか、だからな・・・。鄙鬼これでお前に教える事は、すべて終わった。後は、修行を毎日欠かさずやるだけだ。」
「分かりました。・・・お世話になりました。」
これでお世話になる理由がなくなった。
別に寂しくも、悲しくもないのだが、カイト君の美味しい料理を食べられなくなるというのは、少し残念だ。
「・・・それで、いつ出て行くんだ。」
「そうですね。明日には此処を出ようと思います。」
「っ!・・・そうか。行くあてはあるのか?」
「いえ、ありませんが。」