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鬼胎を抱く

第4章 鬼と念能力


そんな事を言われても、どうしていいか分からない。
私の体を覆うオーラが勢いよく外へ放されていく。
ジン・・・。
助けを求めるように、ジンを見つめる。

「ふう、良いか、オーラを体の周囲に留めるには、血液を想像しろ。オーラが血液のように体中に巡るんだ。」

分かりにくい説明だ。まったく・・・。
ジンに言われたように想像する。
血液が徐々に頭、腕、足へと流れていく。
そっと目を開ける。
手のひらを見ると、オーラが緩やかに体を覆っている。
どうだ、とどや顔をしながらジンを見る。

(コイツ、完璧に纏(テン)が出来てやがる・・・。)

ジンは眉を寄せ此方を見ている。

「ジン?」

「ん?あ、いや何でもない。・・・今やったのが、纏というものだ。纏を行っていれば、体が頑丈になり、常人より若さを保つことができる。」

ふ~ん、と適当に相槌をうつ。
私は、鬼だから年を取らないし、傷が出来ても5分くらいで、完治する。

「良し!次は、絶(ゼツ)だな。」

「絶?」

「そうだ。絶は、全身の精孔を閉じて、オーラをしまう事。
これが出来れば、気配を絶つ事ができ、敵にも見つかり難いって訳だ!じゃあ、さっそくやってみろ。」

オーラをしまう。
蓋を閉めるイメージでいいのだろうか?
ゆっくりと深呼吸をし、心を落ち着かせ、一つ一つ、早く確実に蓋をする。
目を開け首を傾げる。
ん~、集中力がいるな・・・。
けれど、絶は出来ているようだ。
ジンを見ると驚いた様子で、肩を震わせていた。

「お、前は、化け物か!?」

「化け物?・・・まぁ、そうですね。鬼ですから。」

私の返しに、言い返せないのか、言葉に詰まるジン。
ジンはう~、と唸った後、私に謝る。
何故謝るのか理解出来ない。
私達鬼は、見た目は人間と変わらないが、本質はまったく違うのだ。だから、化け物と言われても、それは本当の事で、ジンが謝る必要はない。
そうジンに言えば、苦笑された。
む、何故苦笑されなきゃいけない。謝るなら、その事を謝れ。

「・・・そうか、さんきゅー。」

苦笑から柔らかい笑顔に変わる。
意味が分からない・・・。

「次は、練(レン)を教える。いいか、よぉーく見とけ。」

そう言って、ジンは足を肩幅ぐらいまで広げ、構えをとる。
その瞬間ドンッと爆破したみたいに、ジンから風が巻き起こる。






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