• テキストサイズ

眠り姫の物語【ツイステ】

第6章 呪われし美姫と 英明な従者




リリアは謝る彼女を見つめて思った。

人間の中には、こんなにも優しい種類も存在するのだと。


16歳になれない内に死ぬ。そう呪いをかけられた直後だと言うのに。

彼女は自分の呪いの事など忘れてしまったかのように、リリアの身を案じたり、謝罪をしたり。

「…謝らないとならんのは、ワシの方だというのに…」

『え?』

リリアは、またしてもマレウスを止める事が出来なかった。

しかも今回は、産まれたばかりの子供にガーゴイルを贈る。そんな可愛らしい失敗とは比較にならない。

絶対に失ってはいけない人に、自らが死の呪いをかけた。

そんなことは、あってはならない。

もし本当に彼女が死んでしまえば、マレウス自身が後悔をする事になるだろう。


しかし、

そうはさせない為にリリアはここに来た。


リリアは、カッとその瞳を大きく開いた。

「お姫様、今からワシの言う事をよく聞け」

『!』

「今からワシの魔法で、お前さんにかけられた呪いの効力を弱める」

そういうとリリアは、まばゆく輝くマジカルペンを彼女の頭上に掲げた。

『そんな事が、出来るの?』

オーロラは、リリアを見つめて言う。

自分と、そう年端の変わらない見た目をしているのに、とても頼り甲斐のある男性のように感じたのだった。

「…完全に呪いを解く事は出来んが、弱めるくらいなら…

ワシでもなんとか出来るじゃろう」

自信なさげな言葉とは裏腹に、リリアの表情は非常に強気に満ちていた。

彼は目を瞑り、気持ちを高めるかのように集中し始める。そしてゆっくりと言葉を紡いでいく。

「…仮にお前さんが糸車のつむに指を突き刺さすような事があっても。

死にはしない。ただ眠るだけじゃ。

そしてその眠りから覚まさせてくれるのは、愛する者からの口付け。

真実の愛こそが、お前さんを救うじゃろう」

魔法石から溢れ出したキラキラとした光の粒が、オーロラへの頭上へと降り注いでいった。
/ 526ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp