第6章 呪われし美姫と 英明な従者
そんな会議が行われている同時刻。オーロラの部屋。
そこにフロイドはいた。彼にとって、廊下に立つ見張りなど意味を成さない。
なぜなら、彼は窓から侵入したから。
「…鍵ぐらい締めなきゃ。危ないよ〜?
オレみたいなぁ〜悪い男が入って来ちゃうかも」
返事は無いと分かっていて、彼は1人オーロラに話しかけてみる。
依然として眠り続ける彼女。
フロイドはふと思った。もしかして、オーロラはもう死んでしまっているのでは?と。
「……」
彼は、自分の耳元を彼女の口元に持って行く。
すると、暖かい吐息が耳をくすぐった。
「よかった〜。生きてんじゃん」
安心した瞬間、自分の今の気持ちに違和感を抱いたフロイド。
オーロラが生きているかどうか確かめずにはいられなかったり。
生きていると分かったら安心したり。
他人にここまで自分の気持ちを左右される事など、今までなかったのだ。
だからこそ、今自分の中に芽生えつつある感情が理解出来なくてイライラもやもやするのだ。
しかし、そんな事をいま悠長に考えている場合では無くなる。
この部屋に、カツン。と軽い音が広がった。
突然の異音に、少しばかり狼狽するフロイド。
「!?」
時間を置かずに、またすぐその音は聞こえてくる。
ドアをノックする音かと思ったが、違う。
何故ならその音の発信源は、フロイドが入って来た窓からだったのだ。
『…ん、』
何度も鳴るその音に、眠っていたオーロラもついには反応してしまう。
「やば」
フロイドは、咄嗟にクローゼットの中に身を隠した。