第6章 呪われし美姫と 英明な従者
「そんな案!受け入れられるわけねーだろ!」
バン!と机を叩くのはフィリップだ。
リドルの提案に、どうしても納得出来なかったのだった。
「ボクの策をそこまで否定出来るという事は、さぞ立派な代替案がおありなんだね。
それに、決めるのは君じゃない。
オーロラ姫本人と、ステファン王だ」
リドルの言い分に、ぐうの音も出ないフィリップ。全ての決断を国王に委ねる。
そういった様子で、フィリップはステファンが口を開くのを待った。
なかなか言葉を発さない彼を後押しするように、妖精であるフローラがステファンに進言する。
「ステファン王様。私はリドル王子に賛成致します。
実は私も、彼が提案した内容の事を考えておりましたの。リドル王子が言っていなければ、私が申し上げておりました。
胸中は重々承知致しておりますが…どうか、大切なオーロラ姫様を守る為に…、ご英断を」
フィリップの味方は、この場には誰もいなくなってしまった。
「…クソっ、///」
しかし、彼とて本心では分かっていた。
オーロラの事を本気で思うなら、リドルの提案を受け入れるべきだと。
苦々しく言葉を吐いたフィリップを、辛そうに見つめたステファン王は。
ついにその口を開いた。
「…分かった。
リドル王子…。どうか娘を、頼む」
リドルにも、彼がいまどんな思いで自分に頭を下げているのか。分かっているつもりだ。
出来る事なら、自分の力で娘を守ってやりたかったろう。
目の届く側に置いて、安心していたいであろう。
しかし。その全てを懸命に押し殺し。自分に任せると言っている。
リドルは出来る限り胸を張り、王に答える。
「ステファン王。お任せ下さい。
オーロラの姫様には、必ずや無事に16歳の誕生日をお迎え頂きます。
お約束致しましょう。我等が必ずその日まで、彼女をお守りする事を」