第6章 呪われし美姫と 英明な従者
意識を手放したオーロラは、知る由も無いが。
彼女の心配など杞憂であった。
マレウスは結局、傷1つ負う事なくこの城を去った。
リドルやトレイやデュース。そして妖精達の多種多様の魔法攻撃を いとも簡単に、たった1枚のバリアで防いだのだった。
そして目的を終えた彼は、悠然とも取れる態度でこの場を去って行ったのだ。
当然だが、それからが大変だった。
意識を失ったオーロラを、医者に診せたが体に異常はなく。今は自室にて寝かされている。
母親であるリア王妃は、ショックのあまりオーロラと同じく意識を手放してしまっていた。
そして、城で怪我を負った者の救出と治療。
それがひと段落すると、ステファン国王によって
その場に居合わせた、各国の代表者が大会議室に集められた。
“ ディアソムニア国代表 ステファン王 ”
「まさか、オーロラの誕生日に…このような事になってしまうとは…。
どうか、各国の皆様。これから私達はどうしたら、あの恐ろしい呪いから娘を守り抜けるのか…お知恵を貸して頂きたい」
“ オクタヴィネル国代表 フィリップ王子 ”
「この国中…いや、世界中の糸車を燃やして処分してしまえば…」
“ 妖精の国代表 フローラ ”
「いえいえフィリップ王子様。そのような事は無駄という物です。それほどに彼の呪いは強力なのです…。
おそらく、呪いをかけた本人にすら解く事は不可能なほど…」
“ ハーツラビュル国代表 リドル王子 ”
「…………」
各国の代表達は、それぞれがオーロラを救うべく懸命に知恵を絞った。
しかし、どんな妙案も結局は現実的でないと壁にぶち当たってしまい。
なかなか突破口を見出せないまま、時間だけが過ぎていく。
やがて、今まで一言も発していないリドルが。初めて口を開く。
「…ボクに、ひとつ策がある」
やっと案を出した彼に、その場にいる全員が真剣に耳を傾ける…。