第4章 運命に引き寄せられた出会い
オーロラも、自分の名前を名乗ろうとしたのだが。
その考えを吹き飛ばされてしまうくらいの衝撃の光景を目の当たりにする。
『っこ、これは、一体なにが…』
3人は、固まってしまった。
オーロラが見つけてしまったのは、さきほどリドルの手によって赤く塗られた薔薇だった。
中途半端なまま放置されたそれは、ペンキの赤い雫を地面にポタポタと垂らしていた。
「こ、これは、違うんだ!えっとだな!、えっと…」
「いやデュース、言い逃れは無理だと思うぞ」
「ボクが、塗った」
『塗った??』
リドル自らが白状した。
自分は薔薇に並々ならぬこだわりがあって、白い薔薇を見たら赤く塗りたくなってしまう衝動に駆られる事。
今回も我慢出来ずに、他国の薔薇だというのに赤く染めてしまった事を。
彼女の反応は、意外な物だった。
『…ふ、ふふ、あははっ、
赤い薔薇が好きって理由だけで、貴方はいつも赤いペンキを持ち歩いてるの?いつでも塗れるように?
あはは、それって、凄く面白い!』
お腹を抱えて笑うのだった。
そんな姿も表情も、まるで有名な画家が描いた絵のように綺麗で可愛らしいと。3人はまたオーロラを見つめてしまうのだった。
「リ、リドル様は、病気だから、仕方なくてだな!///」
「っくく、デュース、それ、身内以外に言ったら駄目なやつだ…っ」
「…お前達、帰ったらすぐにその首をはねてやるからねっ///」
3人の小気味のいいやり取りを見て、オーロラはまた笑ってしまうのだった。
彼女がこんなに笑うのは久し振りの事だった。
実は最近、自分を取り巻く暗い環境に、その明るさも
なりを潜めてしまっていたのだ。
オーロラは思った。
彼等のような人達が訪ねて来てくれるなら、気乗りしなかった生誕祭も
決して悪い物でもなかった。と。