第4章 運命に引き寄せられた出会い
「よし、じゃあ後は巣に帰してやるだけだな」
『そうね!ふふっ、私木登りは得意なの』
まさかの発言に、3人はぎょっとした。
こんなにも高い木に、この少女がもりもり木登りをしていく様を想像出来なかったのだ。
「ははっ、まあ俺に任せてみてくれ」
トレイは、彼女から優しく雛を受け取る。
すると、また石が光ると同時に魔法が発動する。
なんと雛が宙に浮いた。やわらかな風に包まれてどんどん上昇して行き、やがて巣の中にふわりと収まった。
『わぁ!貴方も魔法を…!』
トレイは彼女が笑顔を自分に向ける前に、さっと視線を空に逃がした。
「「あ、逃げた」」
「なんとでも言え」
トレイも、彼女にあの笑顔を向けられたら照れずにはいられないと分かっていた。
しかし、その照れた顔をリドルとデュースに見られたくなかったのだ。最年長の意地といつやつだ。
だからオーロラの笑顔をあえて見なかった。
雛を無事に家に帰せた4人は、そのまま自然な流れで
共に庭園を歩く。
『貴方達のおかげで、本当に助かったわ。
ありがとう!もしかして、今日のパーティーに参加してくれるの?』
3人は同時に、はたと思った。まだ彼女に自己紹介をしていない事を。
そして、この美しい少女の名前を教えてもらっていない事を。
「その通りだよ。
僕は、ハーツラビュルの第1王子。リドル・ローズハート」
『!』
オーロラが、自国の同盟国である王子様、リドルに初めて会った瞬間だった。
「で、俺がリドルの従者支配人をやってるトレイ・クローバー。
そこの青いのが、付き人その1のデュース・スペードだ」
「俺、こんなに肩書きが欲しいと思ったの産まれて初めてですよ」村人A的な扱い…
トレイに、ついでのように紹介されてしまったデュース。
顔を両手で覆ってさめざめと涙するポーズを取った。
『ふふ、リドル王子に、支配人のトレイ。そして付き人のデュースね。
うん。覚えた! 私の名前は』