第4章 運命に引き寄せられた出会い
何も言葉を発する事のない彼等に、オーロラは自らの手の中の物を見せて言った。
『この子…
この木の下にいたの』
オーロラの、艶やかな声に聞き惚れそうになるのをぐっと堪え、リドルがようやく口を開いた。
「…鳥の雛、だね。
あそこに巣がある。どうやら落ちてしまったようだ」
4人は、背の高い木を見上げた。
「怪我をしてるな」
トレイは、オーロラの手の中で震える雛を見て呟いた。
「本当だ…足から少しだけ血が出てる…」
デュースも、覗き込んで言った。
『お城の人に頼んで、手当してもらった方がいいよね…』
今にも駆け出そうとするオーロラを、デュースが止める。
「そのまま、雛を持っててもらえるか?」
彼はオーロラの手の上に、自分の手をかざす。
同時に、彼の胸ポケットに刺さった万年筆の魔法石がキラリと光った。
すると、どこからともなく水の玉が現れる。それはふわりと雛の足元を包み込んだ。
『!』
みるみるうちに、血で汚れた雛の足が洗われて綺麗になっていく。
「…怪我も綺麗になったし、患部も冷やせたはずだ。
人間の薬を無理に使うよりは、この方がいいんじゃないか?」
『凄い!貴方魔法が使えるのね…!』
オーロラがふわりと微笑むと、その笑顔を直視出来ずに
デュースは思わず顔を背けた。
「〜〜っ、///」
『この子…震えてる。もしかして、寒いのかしら…』
たしかに雛はオーロラの手の中で、その小さな体をふるふると震わせていた。
「…雛をこちらへ」
そう言ったのはリドル。
オーロラはすぐに彼に向き直って、雛を差し出した。
リドルは自分の右手の平を天に向ける。
また、魔法石が光る。今度は水では無く、リドルの手の中に小さな炎が現れた。
その優しく温かな炎は、震える雛の体を温めた。
『すごく温かい…、
貴方のおかげで、この子の震えが止まったみたい…
「よ、よかった。うん、本当に///」
また笑顔を見せたオーロラ。デュース同様、リドルも顔に赤みがさした。