第4章 運命に引き寄せられた出会い
3人を乗せた馬車は、ようやく城前に到着。
するとすぐにディアソムニア城の従者がそれを出迎える。
馬車から降りて来たばかりのリドルに最敬礼をはらう。
「遠いところからお越し頂きありがとうございます。
ハーツラビュル国の王子であらせられます
リドル・ローズハート様とお見受け致します」
白を基調としたタキシードを身に纏い、赤と黒のコントラストが美しいロングマントを翻して彼は答える。
「いかにも。ボクがリドルだ。
この度は、お招き頂き感謝する」
リドルに続いて、デュースとトレイも馬車を降りる。
パーティーまでは、まだ時間がある。
従者は、3人に言った。
長時間の移動でお疲れでしょう。
特別な客間に案内するので、時が来るまでそこでくつろがれてはいかがでしょうか。と。
「……」
なかなか答えを返さないリドルに、トレイとデュースが声をかける。
「リドル?どうかしたか?」
「?客間で休ませてもらいましょう」
しかし、リドルの答えは意外な物だった。
「その前に、少し中庭を歩かせてもらっても?」
実はリドルは、ずっと楽しみにしていた。
自分の城以外の庭を見るのを。
従者は、その申し出を快く許可した。
どうぞ、自由に心行くまでご覧下さい。と、気を利かせて自分は席を外してくれた。
これで心置きなく、ゆっくりと庭を見て回れる。
3人は、ディアソムニア自慢の広い中庭を楽しみながら、ゆっくりと歩く。
庭には、多彩な花々が咲き誇っていた。美しい大輪の薔薇も。
白や赤、中には黄色もあった。
「やっぱり庭園に薔薇は定番なんですね」
そう言って、デュースは振り返った。
彼の目に…衝撃の光景が飛び込んで来た。
「ちょっっ、リドル様!何やってんですか!!」
「何って?薔薇を赤く塗っているんだよ」
なんとリドルは、白い薔薇に赤いペンキを塗りつけていた。
「い…いやいや、いくらなんでも、自分の城以外でやっちゃ駄目でしょう…
トレイさんも、黙って見てないで止めて下さいよ!」
「…でもなぁ」
「仕方ないだろ。ボクは、白い薔薇を見たら赤く塗らずにはいられない病気なんだ」
「病気なら仕方ないかなって」
「どうして貴方はそんなにもリドル様に甘い!!」