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眠り姫の物語【ツイステ】

第4章 運命に引き寄せられた出会い




ついにその日は、やってきた。


多くの者の運命が、大きく動く事になる

宿命の日。

オーロラ10歳の、生誕祭である。



正式に招待状を受け取った “彼等” は、馬車に揺られながら

ハーツラビュルから、ディアソムニア城に向かっていた。

「たしか、ディアソムニアのオーロラ姫って、僕と同期なんですよね」

そう質問をしたのは、ハーツラビュル王家に仕える

デュース・スペードだ。

右目横に、黒色のスペード模様を持つ、生真面目な少年だ。

その涼しげな青い髪を揺らしていた。


「同期ってお前な…歳は同じでも、身分は天と地の差なんだぞ」

答えたのは、トレイ・クローバー。

左目の下に、黒色のクローバー模様を持つ。彼は穏やかな性格で

緑の短髪に黒縁メガネの、面倒見の良いお兄さん的ポジションだ。

歳も12と、デュースの2つ上だった。

ハーツラビュル王家 王子の第1付き人という立場でもある。


「君達、いつまでも騒いでいないで、外を見てごらん?

目的の城が見えてきたよ」

「「お」」

彼の言葉に、デュースとトレイは馬車の小窓を覗き込んだ。

彼こそ、ハーツラビュルの王子様。リドル・ローズハートだ。

気品ある美しい赤い髪。ガラス玉のような透き通った瞳。

小柄で可愛らしい見た目の彼は、11歳。


「あれ、でもなんか…思ってたよりもボロっちい城ですね?」

「…なぁデュース。頼むから、それ城内で言わないでくれよな」

単純なデュースは、つい思った事をポロリとこぼしてしまう。

そんな彼を、年上のトレイは少しだけ咎めた。

「2ヶ月くらい前に、何者かに襲撃されたらしい。

おそらく修復工事が間に合わなかったんだろう」

リドルは、走る外の景色を眺めながら言った。

「そうなんですか…。そんな大変な事があったのに、よくパーティーなんて開きますね」

「大変な時。だからだろうな。生誕祭って大イベントを中止になんてしたら

自分の国が弱ってますって、諸外国に言ってるようなもんだからな」

トレイの推測に リドルは、そういう事だね。と、同意した。

「…そういうもんですか」

2人の言葉に、デュースは密かに思った。

王族とは、なんて面倒な生き物なのだ。と。
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