第25章 全てを 超えて
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ローズの部屋の前、廊下。
固唾を飲んで待機していた3人は、その異変にすぐに気が付いた。
「…ん、…あれ?どうして我々は、こんな所で寝て…」
「わ、私も…。変ね、まるで気を失っていたみたいに」
「大変!そんな事より、早く招宴の準備よ!皆んな起きて!」
自分達が眠らせた、城の従者達が次々に目を覚ましたのだ。
リドル達が魔法を使う際、念じた内容は こうだ。
“ ローズが目を開く その瞬間まで、共に眠りに落ちること ”
その侍従達が、一斉に意識を取り戻したのだ。それが意味するところは…
リドル達は 理解するが早いか、ローズとマレウスがいる部屋のドアに手をかける。その時、中から声が聞こえた。
『待って!マレウス!』
憶測が確信に変わった瞬間であった。
ローズが目を覚ましたのだ。3人は誰も言葉を発する間も無く、雪崩れる様にして部屋に飛び込んだ。
すると、呼び止めるローズに背を向けて、部屋を出ようとしているマレウスがいた。
3人によって、部屋の中へ押し戻される形となったマレウス。出て行くタイミングを完全に失った彼は、ローズとリドル達の対面に付き合う事となる。
「ローズ!」
『!皆んな…』
まず彼女へ駆け寄ったのはデュースであった。彼は、ベットの前に自立する彼女を見て感極まったのか、口をわなわなさせて 目には涙を浮かべた。
「っ、良かった…!ローズ、本当に…っ。ぅっ、ごめんな、俺は、お前が大変な時に、何もしてやれなくて!」
『デュース。そんな事ない』
肩を震わせる彼を、そっと抱き締めた。