• テキストサイズ

眠り姫の物語【ツイステ】

第25章 全てを 超えて




マレウスが眠らせたのは、なにも群衆だけではない。
この国に存在する “ 全て ” である。

城の前に構える大きな噴水は、その水を天に吹き上げることをやめた。
木々の上で羽を休めていた小鳥の親子は、すやすやと体を小さく上下させている。

今この瞬間、この国はたしかにローズと共に眠っているのだ。


「…なんて、事だい」


その様子を、廊下の窓から見つめていたリドルは呟いた。

自分達が眠らせた時は、6人がかりでやっとだったのだ。しかも、城内の人間だけの話。対してマレウスは、たった一瞬で 国そのものを眠りにつかせたのだ。

トレイとデュースも、自分達との力の差を見せつけられたような気がして、驚愕の声を漏らす。


「あ、ありえない…!」

「あぁ…もはや、人智なんてものを超越してる」


「人智…そんなもの、僕には当てはめられない」


突如として隣に現れた気配と、底冷えのするような冷たい声。彼らは思わず驚きのあまり声を上げそうになる。
しかし当の本人は、淡々と言葉を紡ぎ続けた。


「何故なら、この僕は “ 人 ” ではないからな」


「…マレウス」


リドルは、先ほどまでたしかに見ていたのだ。
この男が、城の外門に立っていた場面を。ここから。


繰り返しになるが…マレウスにとって、空間を飛び越えるくらい 至極容易いことなのだ。

/ 526ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp