第24章 誠意の欠片も感じられない謝罪
「あぁ、すみませんね。貴方には関係の無い事なのですが、僕達には “ とある契約 ” がありまして。
ですがご安心下さい。その契約ももう果たされました。すぐにお暇致しますよ」
アズールの言う、とある契約の内容までは、さすがのマレウスでも把握していない。
その契約とは、ローズとアズール達が交わしたもの。
彼女が北の深海を救えた場合、3人はマレウスに謝罪をする。そういう契約内容であった。
しかしそんな事を 知る由もないマレウスからすれば、突然部屋に乗り込んで来た男達が 理由も述べず、雑に頭を下げただけ。
「…用が済んだなら、早く出て行け」
雷の禍々しい光が、マレウスの姿を照らした。その音が止むのを待ってから、アズールは口を開く。
「引き篭もりですか?良いご身分ですねぇ」
「…僕を怒らせたいのか」
「まさか。ただ、少々 気が変わりまして。貴方と少し話がしたくなりました。
何かお悩みがあるのなら、この私に話してみてはどうでしょう」
自信ありげに言うアズールの後ろで、双子がこそこそと話す。
ふふ、気が変わったらしいですよ と ジェイド。
最初からそのつもりだったくせに と フロイド。
「話す事など、何も無いと言っているんだ。早く出て行」
「そうですか。では、僕から話をさせてもらいましょう。
貴方、ローズさんが眠りについた事をご存知ですか?」
マレウスは、答えない。
「彼女を、眠りから解き放ちたいとは思わないのですか?」
答えない。
「…貴方は、ローズさんを愛しているのでしょう?」
マレウスは、答えない。