第24章 誠意の欠片も感じられない謝罪
「貴方は何か、勘違いをしてらっしゃるようですね」
「勘違い?」
「外で暴れる2人はどうか知りませんが…。僕の目的は、マレウスを部屋から連れ出す事ではありません」
「ほぅ。では、お主は何をしにマレウスに会いに来たんじゃ?」
「それは…
恩人との、契約を果たす為です」
恩人とは誰か。契約とは何か。それをリリアが問う前に、ドッカン!という大きな音と共にフロイドが飛んで来た。
城壁には見事に大穴が開き、ガラガラと崩れながら粉塵を巻き上げている。
石壁に穴が開くほど、背中を強打したはずのフロイドはすぐ様立ち上がる。まるで痛みなど感じていない といった様子だ。その目は完全に瞳孔が開いている。
そして、何を思ったか楽しそうに笑い声を上げるのだった。
「あっはは…っ!クラゲみたいな見た目してるくせに、思ってたより全然やれんじゃん」
「こらこら、城を壊してくれるな!まったく、盛大に暴れてくれて…
ん?んん?誰かと思えば…お主は、たしか…」
「は?誰だよテメェ」
戦闘を邪魔されて苛立つフロイドは覚えていないが、リリアはたしかに覚えていた。
リリアと双子は、6年前に城で出会っているのだ。もっと詳しく言えば、そこにはローズの姿もあった。
さらに言えば彼らは、一戦交えてもいた。その時は、リリアが2人を遇らう程の力量の差があったが…今は分からない。
「つれないのう。つい先日の話だというのに…。たった6年前じゃぞ?」
「んな前の話されても覚えてねーよ」
フロイドの服は所々ボロボロに破け、土埃のせいで汚れている。しかしそんなのは、彼にとっては大した問題ではない。
今気になっているのは、戦闘相手のシルバーの事だけである。