第23章 呪われし姫の帰城
リドルは、デュースが奥の扉を選んだのを確認する。それと同時に、自分は一番近い部屋へと向かった。勢いよく扉を開けると、1人の番人と目が合った。
街灯もない夜の見張りを務めていた番人は、目を大きくしてリドルの方を振り返った。突然、他国の王子がこのような場所に現れては、驚くのも無理はない。
しかしリドルはその男を無視して、部屋全体に視線を配る。
この場にローズがいないのを確認すると、次の部屋へと向かった。
確認した部屋の次に、近い部屋へと入る。しかしそこには、銃眼が4つほど存在しているだけで、人影すらない。
この時点で、リドルの胸の中を 嫌な予感が支配していた。
そろそろデュースと鉢合わせても良い頃だと言うのに、未だ彼はこの部屋にすら現れない。
普通、最初の部屋にローズがいないと分かれば、リドルのように 次の部屋に駆け込んでくるだろう。
しかし、それが無いという事は…。
震え出しそうになる足で、部屋を出る。そして、デュースが一番初めに駆け込んだ部屋の扉を見やる。
彼の心臓は、どんどん煩くなっていった。
急がねば、という気持ちとは裏腹に なかなか足は前に進んでくれない。息が苦しい。酸素が薄くなっているみたいに。
それでも、なんとか重い扉に手を掛けた。
その部屋の風景には、彼が見たくなかった物ばかりが並んでいた。
地面にへたり込んで、背中を震わせるデュース。
禍々しくも、荘厳的な雰囲気を持った糸車。
そして…
眠りについた、美しき姫の姿。