第23章 呪われし姫の帰城
リドルは、デュースの少し後ろを走っていた。辺りに気を配っている余裕など無い2人。特に前を行くデュースは、左右の足を交互に出す事だけに集中していた。
曲がり角で、出会い頭にぶつかってしまった下女に謝罪する時間すらない。後ろを振り向く事無く2人は走り続けた。
そんな2人が向かう場所は、ローズの自室から一番近い場所にある。彼女の部屋の窓から覗けば、そこは目視出来る距離にあった。なので道に迷う可能性がない分、2人の気持ちをより焦らせる。
全力で走り続け、やがてそこへ到着した。実際には5分とかかっていないのだが、2人の体感では倍にも3倍にも思えた。
さらに、ここから渦巻く螺旋階段を登らなければならない。
ここは、3本ある城壁塔の中でも一番の高さと大きさを誇っていた。その分、頂上まで最も距離がある。
しかし、そんなものは2人を躊躇させる要因になりはしない。
彼らは、途方もなく並ぶ階段の1段目に足をかけた。
この城壁塔には、頂上以外にフロアは存在しない。だが、その頂に部屋は3つある。城外を広範囲見渡せるように設計された為だ。
やがて、その頂上に2人は到着した。そこには、それぞれのフロアへと繋がる扉が3つ。それらは全て同じデザインで、ニスの塗り込まれた木材と、黒鉄からなっている。
少しばかり前を行っていたデュースは、何を思ったのか 登ってきた階段から一番遠いドアへ向かって突進した。