第23章 呪われし姫の帰城
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トレイとデュースの元に、リドルが合流した。2人して廊下に立っている姿を見たリドルは、すぐに察したようだ。せめてもの優しさで、ローズを1人にしてやっているのだろう と。
その考えには彼も賛成だった為、彼らに倣って壁に背を預ける。
さすがに、同盟国の王子様がこんな所に突っ立っていては目立ち過ぎる。それを自覚していたリドルは、デュースとトレイとは違ってフードを被ったままであった。
トレイは、隣に佇むリドルをチラリと盗み見る。表情を伺いたかったのだが、深くかぶったフードのせいで それは叶わなかった。
左腕にある時計に視線を落とす。それから、どちらに話しかけるでもなく言葉をこぼす。
「…あと、3時間か」
「そうですね。もう21時か…。
あともう少しで、ローズは16歳。なんだか、あれからもう6年経ったなんて…信じられませんね」
「デュースの言う通りだね。ボクにとっては、呆気ない程あっという間だったよ。本当に…ぼんやりしていると、見逃してしまうくらい束の間の時間だった。
それほど、彼女と過ごす時間は 煌めいていたよ」
リドルのそんな声を真剣に拾いつつ、2人も この6年間に想いを馳せる。目を閉じれば、すぐに浮かぶローズの笑顔。いかにこの数年間が、幸せだったのかと 悟るのであった。
そんな、黄昏のような薄っすら暗い雰囲気。それをぶち壊す大声が、突如 廊下に響き渡った。
「リドル!!」