第22章 真実の愛はディアボリック
ローズがマレウスを必死に庇っている今、リドルは猛烈に後悔していた。
どうして、今まで彼女にマレウスの話をしなかったのだろう と。
理由は多々ある。彼自身、マレウスの名を口にするのも嫌気がするくらい憎んでいたのもあるし。
ローズの方も、その名を耳にしたくないと思っていると、決め付けていたから。
まさか、自身に呪いを施したのがマレウスであると、彼女が知らないとは夢にも思わなかった。
今まで、その男の話題を避けに避けてきたのが裏目に出てしまったのだった。
こんな事になるならば、もって言って聞かせておくべきだった。マレウスという男が、どれくらい悪で、忌むべき対象であるのかを。
「ローズ。よくお聞き。
キミとマレウスは、絶対に会わせない」
『リドル!』
「どんな理由があろうと、キミに死の呪いをかけたのがマレウスだという事実は揺るがない。
ボクには、キミを守る義務がある。だから、キミをここへ閉じ込めてでも 会わせはしないよ。
反論は無しだ」
『っ、』
「いくらでも、ボクを憎むがいい。恨めばいいよ。
たとえどれ程キミに嫌われようと、疎まれようと これは決定事項だ。
明日の夜、ここを発つ。そして城で16歳の誕生日を迎えるんだ。勿論、眠りにつく事無くね』
『…リドル達が、私を心配して言ってくれてるのは分かってる!
でもっ、私は…!
彼がっ、マレウスが…どうしようもなく、好きなの!だから、会いたい!お願いよ、会いたいの…』
「…キミとマレウスは、もう二度と会う事はない」
ローズは、自分に向けられるリドルの目を見つめる。その目には、確固たる決意が宿っていた。
彼女は悟る。
もう本当に、本当にマレウスには会えないのだ。