第22章 真実の愛はディアボリック
失意の底にあるローズを、リドルが横抱きにして運ぶ。相当なダメージを負ったデュースには、トレイが肩を貸した。
雨は激しさを増し、4人の体をしとどに濡らしていく。水はけの悪い地面に足を取られながらも、ようやく森の家へと帰り着いたのだった。
雨で冷えてしまったローズ。いらないと言う彼女を、なんとか風呂場へと押し込んだ。
3人を、重たい空気が包む。しかし、今後の為に話をしないわけにはいかない。
窓からは、どんよりとした空模様が窺える。時折、雷の閃光が彼らの顔を照らした。それから少し遅れて、大き過ぎる音が鼓膜を揺らした。
リドルは顔をしかめて息を吐く。
「…忌々しいったらないね」
「はぁ…まったくだ」
「…それ、いま外で鳴ってる雷の事言ってます?それとも、あの角野郎の事言ってるんですか?」
「「両方だよ!!」」
「いっ…つつ!せ、先輩方、もう少し優しく…」
疲労困憊、満身創痍のデュースを、リドルとトレイが魔法と薬を用いて手当てをしてやる。
擦りむいた額に消毒液を塗られたデュース。それが予想以上に傷に染みたらしく、悲痛な声を上げる。
雨はよりその激しさを増し、窓を強く叩いていた。それに比例するように雷鳴の間隔も短くなる。立て続けに、近くに雷が落ちているらしかった。
この雷に、マレウスの力が影響しているのかどうから分からないが。彼ならば天候を操る事も出来るのかもしれない。彼と相対した3人は、一様に心の中でそう思い浮かべるのであった。