第22章 真実の愛はディアボリック
透明な壁に阻まれ、マレウスの目前で消滅する攻撃。パァン!と破裂する音が辺りに響き渡った。それと同時に、デュースはその場に両膝を付く。
「っく、…あれだけの、魔力でも…傷一つ、付けられないのか、!」
「お前の今の魔法は、自身に蓄積された魔法ダメージを相手に返すものだな。しかし、それすらも僕にとっては無意味。無価値。
何故だか分かるか?
お前に使った全魔法量は、僕にとってはほんの些細な分量だという事だ」
マレウスの言った通りであった。
同じ魔法量でも、デュースはボロボロになり、マレウスは傷一つ負っていない。せっかくのユニーク魔法も、それをまざまざと見せられる結果となってしまった。
さすがにもう、立ち上がる気力も起こらないだろう。マレウスはそう思った。
しかし…
「は…っ、それが…どうしたって?」
「……」
『っ、デュース、もうやめてっ!お願い、もう立ち上がらないで!』
「俺も…アンタも、まだ生きてんだろうが!!
どっちかが死ぬまで…やり合ってやるって決めてんだよ、こっちはなぁ!!」
「!!」
マレウスはこの時。デュースの中に、たしかな命の煌めきを見た。
瀕死に追い込まれながらも、愛する者を守ろうとする気概。一度決意した事を、何があっても突き通す意地。絶望的な状況下でも、決して折れない心。
こんな時だというのに、彼はシルバーの言葉を思い出していた。
“ 人間は、確かに脆く儚いかもしれません。
ですが、心は そう弱くはないかと ”
ボロボロになりながらも、幾度と無く立ちはだかるデュースを見てマレウスは…
その姿を、美しいとすら感じた。