第22章 真実の愛はディアボリック
まるで、なじられるように、いたぶられるように、目の前で対抗するデュース。既に立っているのもやっとという様子だ。
しかし、何度 強力な魔法を穿たれたとて、衝撃をその身に受けたとて、彼は立ち上がった。
たたらを踏み、ローズとマレウスの間に立つ。
そんな彼が手にしているマジカルペンの魔法石は、黒く淀みつつあった。
「…それ以上、魔法を使うべきではないな」
「うる、…さい」
「やめておけ。
堕ちるぞ」
「言った…だろ、俺は…アンタを 絶対に許さないっ。
ローズを、傷付けた、その罪を…っ!その身で償え!!」
「!」
戦意喪失寸前だと思っていたデュースの身に、急激に魔法力が集まるのを確かに感じた。マレウスでさえ、半歩だけ後ろに身を引いた。
その隙を見逃さずに、デュースは無我夢中で行動を起こした。
ついに彼の力が、この土壇場で開眼する!
「落とし前をつけてもらう! 歯ァ食いしばれ!
ベット・ザ・リミット!!」
「!!」
『っっ!!』
強大な力が、マレウスに向かう。
ベット・ザ・リミット(しっぺ返し)彼が受けた魔力を溜めて、全てを相手に返す。デュースのユニーク魔法であった。
ついに、彼の努力が身を結んだ瞬間だった。ローズを護りたいという鋼のような決意が、天が彼に唯一無二の魔法を与えたのだ。
しかし…。その天が与えた好機さえ、マレウスには届かない。
「やはり、人の子というのは…
弱く、悲しい生き物だな」