第22章 真実の愛はディアボリック
「よく…、のこのことローズの前に出てこられたな!コラ」
「……」
「俺はアンタを許さない。覚悟しろ、マレウス!!」
「ほぅ。人の子風情が、大きな口を叩いたものだ。
手が、震えているぞ。本当は分かっているのだろう?
お前では、僕に敵わないことを」
「……っっ、黙れ!」
目の前の、強大な敵に図星を突かれたような気がして。デュースは居ても立っても居られずに渾身の魔法を放つ。
しかし、まるで当たり前みたいに攻撃は当たらない。マレウスはその場から一歩も動いていないのに、攻撃自体がマレウスを避けたように見受けられる。
歯をくいしばるデュースに、今度はマレウスが攻撃を加える。マジカルペンを使うまでもないと思ったのか、ただ右手を軽く振り上げただけでデュースは後ろへ吹っ飛んだ。
ローズは、目の前で起こっている事態がまるで飲み込めていなかった。
どうして、2人が戦っているのか。こんなにも嫌悪を剥き出しにしてぶつかり合っているのか。理解が追い付かない。どう動いていいのか、一体どちらに何と言葉をかければいいのか。
何も、分からない。
「っっ、ク…ソ!」
「どうした、もう終わりか?この僕を許さないのだろう?
ならば立て。立って もっと抗ってみせろ。デュース スペード」
マレウスも、デュース同様に怒っていた。
彼が邪魔さえしなければ、あと5分遅れてこの場にやって来てくれれば…
ローズに、自らの口で打ち明ける事が出来たのに と。
もはやこうなってしまっては…
結末が最悪へ向かうのは、時間の問題だろう。