第19章 悔恨と踠きのドラコニア
きっと、自分に会ったと 皆んなに話してしまえば。もうローズとこうして2人きりで会う事は叶わない。
彼等は彼女とは違い、誰がローズに呪いをかけたのか 知っているのだから…。
自分の腕を掴むマレウスを、ローズは不思議そうに見上げる。
『…マレウス?』
「いや…、きっと、ほぼ初対面みたいな僕と会っていたと知られると お前は酷く怒られるだろう」
ぱ、と手を離して 彼は顔を背けた。
『私の事を心配してくれてたの?ありがとう…
たしかに皆んなからは、詳しく知らない人とは会うなって言われてるけど。でも大丈夫。
だって私とマレウスは、何度も何度も会ってるでしょう?最近だって、たくさんお話ししたじゃない!』
マレウスは首を傾げる。
「…いや、覚えがないが。どこで会った?」
『夢の中で』
「!!」
自信満々で微笑んだローズを、思わず無遠慮に見つめてしまう。
はっとするくらい綺麗なのに、まるで子供のような、悪戯っ子のような。人懐っこい笑顔に、一瞬で虜にされてしまう。
「ふ…、はは!やはり人の子とは、可笑しい事を言うものだな。
しかし、その通りだ。たしかに、何度も会っているな。
僕の夢の中にも、幾度となく お前は現れているのだから」
マレウスのその言葉に、嘘偽りは ひとつとして ありはしなかった。