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眠り姫の物語【ツイステ】

第19章 悔恨と踠きのドラコニア




目の前の輝きによって、自分の身が消し飛んでしまうのではないか。と、目眩さえ覚えた。
それくらい、鮮烈な光をローズが放っているように感じたのだ。

同時に、自分の存在が酷く 醜く小さく見えた。

「…僕は」
(自分の身を、唯一信じてくれた存在を、自ら呪ったというのか)

皮肉な運命に、この世の全てを投げ出してしまいたくなった。

『マレウス?』

彼は、ゆっくりとローズの頭上へと 手を伸ばす。柔らかい髪が、ふわりと彼の手のひらを温めた。


マレウスは、瞳を閉じて 希う。

どうか。彼女の行き着く運命が、死 ではありませんように。
その呪いを受けるのは、例え自分であってもいい。自分の命すら、投げ出したって構わない。

だからどうか。

過去に犯した過ちを今、打ち消させて欲しい…!


『!!』


辺りの空気中に漂う 目に見えない力が、全てマレウスの体に吸い込まれていくようだった。
そして、その力は集約されて 彼の手のひらから ローズの頭上へと降り注ぐ。

しかし…。

「っ!」

突如ローズの体から現れた、暗い黒い影のようなものが、その神秘的な魔法力を弾いた。
まるで強力な電気のような、衝撃波のようなものが2人の間を引き裂いた。

まるでそれは、強い拒絶。

過去のマレウスは、今のマレウスを決して 許しはしなかったのだ。例えどれ程 過去の過ちを悔いたところで。


先ほどまでローズの頭に乗せていた方の手を見つめる。
手のひらは、まるで火傷の痕のように焼け爛れていた。

彼は、思い知らされたのだ。過去の自分が、いかに強い怨念を持ってローズに呪いを施したのか。

それはもはや、無かった事には出来ないのだと。
どれだけ悔いようが、踠こうが、彼女の運命は、変わらないのだろうか。

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