第19章 悔恨と踠きのドラコニア
『で、でもちょっと待って。さすがに少し考えさせて』
たしかに、何でもする。とは言ったものの、さすがに一生を添い遂げる伴侶は 簡単には決め切れない。
「ええ、勿論!ゆっくりご検討下さい。と、言いたいところなのですが…。
私と契約を交わした日から、もう既に丸2日経過しています。
“ 期限は、3日後の日没まで ”
その点を、どうか ゆめゆめお忘れなきよう…」
帽子を深く被り直し、アズールは目線を彼女から切って笑って見せた。
『え?』
「期限?それは一体何の事だ?」
寝耳に水 状態で、戸惑うローズとトレイ。そんな2人に、丁寧な説明口調でアズールは答えてやる。
「おや、契約内容の確認をご希望ですか?良いでしょう」
アズールが懐から取り出したるは、黄金に光る契約書。2人はそれに全て目を通していく。ローズに至っては、約款を読むのは2度目だ。
しかし、それのどこにも 期限などは明記されていない。
「お2人とも、惚けるのがお上手だ。では、僕が教えて差し上げましょう。ここですよ、ここ」
そう言ってアズールが指差した箇所を確認するが。そこには文字など書かれていない。
すると、アズールの隣に控えていたジェイドが、ルーペを差し出した。
「どうぞ」
それを受け取り、ローズとトレイは、2人してルーペを覗き込んだ。それはもう、目を皿のようにして確認する。
すると、ごく小さな小さな文字が たしかに記されているではないか。
《 問題解決の策を見付けるまでの期間は、契約者がサインをした当日から、3日後の日没までとする》